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『ヒミズ』 園子温監督の独特な演出に酔わされた

CROCOブログ 2016.12.16

こんにちは!CROCO広報担当のアミです。

先日、めちゃくちゃ今さらですが、園子温監督の『ヒミズ』を観ました。

 

ヒミズ(2012)

 

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あらすじ

成長してごく当たり前の普通の立派な大人になることが夢の、中学三年生の住田祐一(染谷将太)。

一方、同い年の茶沢景子(二階堂ふみ)の夢は、自分が愛する人と支えあいながら人生を歩んでいくことだった。

しかし、ある日二人の人生を狂わせる大事件が起き…。

 

 

 

上映当時話題になっていましたが、「重くて辛い話」とよく耳にしていたので、敬遠していました。

最近園子温監督の作品を連続で観ていたので、この流れで観ちゃえ!と思って観たんですけど

 

私の率直な感想は「痛い…」でした。

なんていうかもう、物語が面白い面白くないとかじゃなく、ただただ打ちのめされて、痛くて立てない。

これ映画館で観てたら、絶対エンドロール終わっても立てないわ…と思いました。

 

 

園子温監督の作品ってどれも「人間」そのものの描写がわかりやすいを超えてどギツいというか、どストレートというか、やりすぎと言うか…

なんていうんだろう。例え、あんまり感情を出さないひかえめなキャラがいたとしても、その「ひかえめな部分」の描写をあてつけがましいくらい映したりだとか。

演技に「胸を打たれた」という表現は生ぬるくて、登場人物全員にあてられて苦しくなってしまう。

『ヒミズ』を観終わった後は吐きそうなくらい疲れました。

今、この文章を書くためにシーンを思い出しているけど、それだけでも胸の奥がザワザワして、気持ちが重くなります。

おそらく、それは監督の思惑通りなんだろうなと思います。

 

 

映画『ヒミズ』は、3.11後という設定で、この設定は原作とは異なっています。

『ヒミズ』を撮り始める直前に東日本大震災が起こり、園監督がこの設定を付け加えて1ヶ月で脚本を全て書き直しました。

私は原作は未読なのですが、映画と原作は結末を大幅に変えたようです。

 

 

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どうしてこんなにまで「人間の感情」が自分にのしかかってくるのか。

それは、園子温監督の独特の演出にあります。

もちろん役者全員の演技が素晴らしいからなのは当たり前なのですが、それだけではありませんでした。

 

 

通常の撮影では「本番」に行く前に「段取り」と「テスト」を行います。

段取りで、現場で実際に俳優に演じてもらい、その動きをみて、カメラ・照明・マイクの位置を決めていく。

テストで、それらの機材を入れて俳優に動いてもらう。

「本番」に行く前に「テスト」で修正を重ねます。

だが、園監督は「テスト」をほとんどせず「本番」にいきます。

通常の撮影では、アングルが変わっても同じ芝居を繰り返さなければいけません。

しかし、園監督の現場では1シーン1カットで様々なアングルから撮り、アドリブもアレンジもOK。カメラも俳優も自由に動いていい。

この撮影方法を、俳優を「決まりごと」から解き放つためと園監督は言います。

住田が父親に殴られるシーンは、7分の長回しと50回以上のカットを撮影したそうです。

 

 

その中で役者が一番いい演技・表情をした時の映像を切り取って編集でつなげています。

そのため、おそらく『ヒミズ』ではイマジナリーラインを無視しています。

 

 

 

◎イマジナリーラインとは

想定線ともいう。映画やビデオを撮影する場合の用語で、2人の対話者の間を結ぶ仮想の線、あるいは人物、車両等の進行方向に延ばした仮想の線をいう。

(Wikipediaより)

 

要するに、画面上に2人の人物が並んでいるとき、その2人を結ぶ見えない線のこと。

映画・ドラマにおいてカメラポジションを決める際に原則として守らないといけないルールの一つです。

これは、もしラインを越えてカメラを置くと左右が反転してしまい、観客が混乱してしまうからです。

 

 

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(Wikipediaより)

 

 

 

『ヒミズ』では、登場人物の心情が変化するところや感情が爆発するシーンでは、だいたいこのイマジナリーラインが無視されています。

「そんなもん気にするよりも役者の一番いい演技が一番大事なんだ」という園監督の気概が感じられます。

監督自身が、決まりごとなんて無視しているんですね。

 

この演出と編集方法によって、役者の本当に一番いい表情や、そのタイミングでしかできなかったであろうアドリブを撮り逃さず、観客を酔わせてくれました。

 

他にも、普通は寄って撮るであろうシーンを、敢えてクレーンで引きで撮っていたりなど

(残酷なシーンなんですけど、めちゃくちゃ観ていて辛かった…。)

斬新な園子温ワールドに引き込まれます。

 

 

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確かに重くて辛いけど、それだけでは決してありません。

是非、一度観てみてください。心に余裕がある時じゃなきゃだめだぞ!!マジで!!

 

 

 

 

ちなみに『TOKYO TRIBE』っていうラップバトルの映画も最高なんで是非観てください!!!

こっちは重い要素なんてカケラもなく、ただただ楽しい映画です!!

園子温、振り幅広すぎ。

 

 

 

 

 

 

croco

この記事を書いた人

広報担当 アミ